櫻の園

監督:中原俊
出演:中島ひろ子/つみきみほ
原作:吉田秋生
制作:1990年日本

櫻の園 [DVD]

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昔一度観たものの、すでに殆ど忘れてしまったのでもう一度観てみました。
やはり吉田秋生原作という事もあって、瑞々しくてとても良い映画です。場面は全て女子校内に留まり、そこでのたった数時間の出来事を描いたごくシンプルな作品なのに、まるで長い時間彼女たちと過ごし、見守ってきたような気持ちになりました。
冒頭の男女の会話は少々初々しいというか、演技力に難がある感じはしたけれど、主演の中島ひろ子がそれをカバーするほどの素晴らしさで、春の女子校に漂う幻影のような柔らかい空気ととても良くマッチしていました。
あとつみきみほの存在は大きい。全てオーディションで決めた出演者のせいか、どれもこれも野暮ったい女の子ばかりの中で、つみきさんだけが凛と鋭く、画のクオリティを上げて映画を引き締めてくれました。
私の体験そのままではないけれど、部活だけの独特な上下関係を思い出したりもして。甘い先輩と厳しい先輩がいて、ここで言う「3歩以上は走る」のような妙なルールがあったり、何となく仲のよいグループが出来ていたり、共学でも女子校でも、そういう雰囲気は同じなんだなと。
下手に要素を盛り込まず、ただ春の空気と共に彼女達の感情を切り取ったからこそ、手触りの残る作品になっているのだと思いました。

それにしても。
1990年はそんなに昔という感じがしてなかったのに、このビジュアルには驚かされたよ(笑)私が小学生の頃、世の中の一般的女子はこんな感じだったのかしら?これから公開する新しい櫻の園も、是非18年後に観てみたいな。