苦役列車
監督:山下敦弘
原作:西村賢太
出演:森山未來/高良健吾/前田敦子/マキタスポーツ/田口トモロヲ 他
制作:2012年日本
「http://www.kueki.jp/index.html」
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 266回
- この商品を含むブログ (120件) を見る
森山未來がとても素晴らしかった。あの王子の輝きが微塵も感じられず、驚くくらい汚く変貌。外身の話ではなくて、内側から出てくる汚れ感が板についていて、もはや別人だった。
がさつな動作、幼児性が残ったような喋り方、自分を卑下しつつ他人を馬鹿にし、感情のまま生きて、人生を諦めているのかと思いきや希望も捨ててない。そんな主人公が森山未來によってクリアに印象づけられた。本当に良い役者さんだな、追わずにはいられないよ。
そして私が好きな、初期の山下作品の雰囲気が全面に出ているのも好ましかった。
「リンダリンダリンダ」や「天然コケッコー」みたいな爽やか映画も悪くないけど、私はやっぱり「どんてん生活」「ばかのハコ船」「リアリズムの宿」あたりの、じめっとした閉塞感のなかに軽やかなユーモアが混ざっているような作品が好きだ。
今回のようなどうしようもない男を撮らせたら、山下監督の右に出る者はいないと思うよ。久しぶりの唐突な落下にはときめきを隠せない。
前田敦子も驚くほどよく馴染んでいた。時代に、画面の暗さに、山下監督の世界感に上手く同化した、ぴったりのヒロイン。途中で歌われたマキタスポーツ作詞作曲の歌がかなり良かったよ、流石マキタさんね。