ジャーマン+雨

監督:横浜聡子
出演:野嵜好美/藤岡涼音/ひさうちみちお
場所:ユーロスペース
http://www.german-ame.net/index.html

ジャーマン+雨 [DVD]

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何か観るものはないかと適当に映画サイトを探していたら、出会った。

トラウマなんてくそくらえ!!
不細工でわがままでひとりぼっちのよし子は、世界に触れんと手を伸ばす!
(公式文引用)

このちょっとした紹介文だけでも面白そうだと思ったけれど、本当はタイトルですでに惹かれていた。映画も本も、タイトルが重要。
監督はこの作品が初めての映画館上映だそうですが、期待を裏切らない面白さ。久々に見逃さないで良かったと思える作品だった。何と言っても主演「よし子」を演じる野嵜好美が圧倒的に良い。画面に存在するだけ、一言発するだけでみんなの目を奪うような重量感がある。山下敦弘監督の作品でも主演をしていたそうで、妙に納得。
ストーリーも台詞も、主演を彼女に決めてから当て書きしたような見事なハマリ具合で、ゴリラ顔には少し届かないかもしれないけれど、野太い声も横柄で乱暴な話し方も完璧だった。でも本当にブサイクだったら好きになれないもんね、そのギリギリのラインをいく素敵な顔だ。
全体として言葉のリズムが大事にされていて、間やイントネーション、タイミングのお陰で一言一言が面白い。特によし子とドイツ人の会話なんて最高。実際会場では何度も笑いが起こっていたけれど、こういった小さい映画館でも笑える作品は素晴らしいと思う。
幸運な事に、よし子の周りには理解者がいっぱいだ。友達の女の子なんて、突然殴られるなどの理不尽な対応をされてなお、別れ際に「また明日ね〜!また明日ね〜!」と手を振り続ける。愛おしいんだ、よし子が。
なんかわかる。
私にも居る、そういう友達が。みんな1人くらいはいるのだろうな。約束すっぽかされても突然呼び出されても、嫌いになれない。でも許せるのはその子限定。たぶん自由さとか、世界に屈しないところに憧れてるのだと思う。世界に触れんと手を伸ばす!
ラストの終わり方だけが少し映画のイメージと違った。見る側に先を委ねられたフェイドアウト系だけど、私としてはバシッと幕を下ろして欲しかったかな。「完!!」みたいな。最近そういう映画が少ないような気がするけど、流行なの?けど、面白かった事に変わりはない。この監督さんの次回作も是非観てみたいと思う。